2025.06.10

祖父母の想いとともに〜築100年以上の家を未来へつなぐリノベーション〜後編

築100年以上、奥さまの祖父母が暮らしていた家を次の世代へとつなぐためにリノベーションを選んだ山口さんご夫婦。立派な庭や茶室、書院や欄間といった趣ある空間をできる限り活かしながら、理想の住まいをつくるための挑戦が始まりました。

後編では、ついに完成した住まいの様子と実際に暮らし始めて感じたこと、そしてリノベーションを考えている方へのメッセージをご紹介します。

前編はこちら

今あるものを活かす“残す”リノベーションのかたち

リノベーション後のリビング

打ち合わせをスタートさせて1年半の時間をかけて完成。2025年1月に引き渡しが完了し、3月に引っ越しを終えた山口さん。暮らし始めてから約1ヶ月。山口さんご夫婦が語ってくださったのは、変わりすぎないことへの満足感でした。「めちゃくちゃ新しいとか、The新築という感じではないんです。でもそこがいいんですよね。懐かしさがあって、安心できる家に仕上がったなと思います」

祖父母の家を受け継がれたこちらの住まいには、書院や欄間など、時代を越えて残していきたいものがたくさんありました。打ち合わせの中でも「活かせるところはなるべく残したい」というご要望があり、これをSCOL HOUSE内でしっかり共有しながら、設計を進めていきました。

たとえば床の間に使われていた飾り棚は、今ではトイレの中でさりげない存在感を放っています。

ご主人が最も強くこだわったのがお風呂。「家の中に日常と非日常を両方持ちたい」との想いから、お風呂で非日常を感じられる場所に仕上げられています。

もともとは猫足のバスタブを置くイメージもありましたが、「掃除が大変そう」という現実的な理由から方向転換。旅館のような石のお風呂を作ることになりました。

使用したタイルは、まるで鮫肌のような独特な質感があるもの。ドアノブ、シャワーヘッドなどすべてご自身で選ばれました。既製品ではなく、自分たちで作り上げることも可能ですが心配なのが将来のメンテナンスです。SCOL HOUSEでは、将来のこと、万が一壊れた時の対応についても事前にしっかりご説明させていただいております。

今回もその点は納得していただき、丁寧に話し合いながらつくり上げた空間です。

以前の住まいではキッチンが狭く、家事動線に悩むこともあったという山口さん。今回のリノベーションでは、「とにかく作業しやすく」「料理を作っている手元は見せたくない」「収納は隠したい」という明確なご要望がありました。

見せる収納が苦手とのことから戸棚をしっかりと設け、来客時にも生活感を感じさせない空間に。さらにキッチンの腰壁も時間をかけてデザインとタイル選びを行いました。

レンガ積みにするか、乱張り風にするか。さまざまな選択肢を検討する中で最終的に選ばれたのは、すでに廃盤が決まり今後は製造されない希少なタイルでした。「これだ」と思えた決め手は、その今しか手に入らない特別感だったそうです。

また、急きょ追加されたカウンターもこだわりの1つだと話していただきました。「朝ごはんを食べたり、コーヒーを飲んだり。やっぱりカウンターがあると便利ですね。無理を言ってつけてもらいましたが、今では毎日使ってます」

さらに、棚の下段にはお祖母様が大切にしていた茶器が飾られています。「完成見学会の際に、SCOLさんが配置されたインテリアを見て『これ真似してみよう』と思って並べてみたら、すごく可愛くて」と話していただきました。昔のものを活かしながら、自分たちの感性で今の暮らしを作るサポートを今回はご提案させていただきました。

「壊す」ではなく「継ぐ」を選んでよかったと心から思えました

山口さんに今回のリノベーションを振り返っていただきました。

「今あるものを活かすには節約の気持ちも、もちろんありました。でもそれよりも『もう手に入らないものを残したい』という想いの方がずっと大きかったんです」そう語る山口さんの言葉には、築100年を超える家に対する深い愛着と、これから先へとつなぐ覚悟が込められていました。

「昔のデザインって、今見るとすごく味わいがあるんですよね。流行りに左右されない強さというか、あたたかさというか。そういうものをできるだけ残して暮らしたいと改めて感じることができました」

SCOL HOUSEではその気持ちを丁寧に受け止め、一緒に「何を残し、何を変えるか」を見極めながらリノベーションのプランを練り上げていきました。

玄関にある書院

たとえば、「玄関から書院が見えるように配置してはどうですか」「この欄間に照明を仕込んでみましょう」といった提案は、ご自身たちだけでは思いつかなかったアイデアだったそうです。

玄関の書院はリビングからも見ることができます。

「SCOL HOUSEさんから提案していただき、こういう活かし方があるんだなと感心しました。我が家に来てくれたお客様は皆さん『玄関すごいね!』って言ってくださります。そのような空間を作ってくださったことに感謝ですし、さすがプロだなと思いました」

実際に暮らし始めてみると、住まいは家族にとってすぐに馴染む場所になったといいます。「ここで生活をし始めてまだ1ヶ月しか経っていないんですけど、もっと前からここに住んでいたような、そんな安心感がありますね」お子様たちも自然に家に馴染み、「ばあちゃんの家に来たみたい」と話してくれるのだとか。

「リノベーションを振り返ってみると、嫌だなと思ったことが本当にひとつもありませんでした。人って、ちょっとしたことで『うーん…』って感じることもあると思うんですけど、SCOL HOUSEさんは対応も提案も全部誠実で。最後までずっと気持ちよく進められました。おそらく、私達は家づくりに対するこだわりが相当強い方だったと思うんです。でもその都度きちんと話を聞いてくれて、『こういう想いがあるなら、こうしましょう』って、一緒に考えてくれた。それが本当にありがたかったです」

リノベーションは、ただのリフォームではなく「意味のある選択」だと山口さんは話します。

「新築はおまかせできる部分もありますが、リノベーションは残したい理由があるから選ぶもの。だからこそ、自分の想いをちゃんと伝えることが大事なんですよね。できる・できないの判断はプロに任せればいいですし。まずは自分たちがどうしたいかを正直に話すこと。それが後悔しないリノベーションにつながると思います」

私達が山口さんのリノベーションを行うにあたり、何よりも強く感じたのは引き継ぐという意志の強さでした。

「この家を壊して新しくすることもできたと思います。でも祖父母が暮らしてきたこの家を私たちが引き継いで、子どもたちにまたつないでいける。それってすごく意味のあることだと思うんです。これまでの家に今の自分たちの暮らしや理想をどう融合させていくか考え、その両方が合わさって今回の家を作ることができました」

最後に、リノベーションを検討している方へのメッセージを伺うとこんな言葉が返ってきました。

「SCOL HOUSEに相談すれば間違いないです。私も友人にたくさんおすすめしています。実はうちの会社にも建築部門はあるんですけど、それでもSCOL HOUSEさん一択でした。それくらい信頼できるパートナーです」

壊すのではなく、継ぐことで始まる新しい暮らし。SCOL HOUSEは、そんな住まいづくりをこれからも、一緒に考えていきます。


山口さんありがとうございました。リノベーションを検討されている方、ぜひ1度ご相談ください。